お尻の筋肉(大臀筋・中臀筋・小臀筋)というのは、「脚を後ろに蹴り出す」、「股関節を伸展させる」など、走る際の推進力を生み出す役割を担っていますよね。
だから、これらの筋肉をしっかり使えていないと、効率よく前に進めないし、スピードも上がりにくいというわけですね。
さらに、スピードアップにはストライドやピッチの向上が不可欠ですが、これにはお尻や太ももの裏(ハムストリングス)の筋肉をしっかり使うことが重要です。特に速いペースではお尻の筋肉の関与が大きくなりそうです。
また、スピードだけでなく、持久力をレベルアップするにもお尻を鍛えるのは意味があるとされてます。
というのも、お尻の筋肉には「赤筋(遅筋)」が多く含まれていて、これは持久系運動で重要な筋繊維です。この遅筋を鍛えることで後半まで粘れる体を作ることができ、長距離ランでも失速しにくくなるわけです。
ただ、これらの「お尻を鍛える理由」って、中高年に限らず、全世代ランナーに当てはまること。
では、中高年ランナーがお尻の筋肉を鍛えることに、特別重要な理由はあるの?と思って、調べてみると、中高年ランナーが「お尻」を鍛えるべき特有の理由というのはありました。
それは、「加齢による筋力低下」「骨盤・体幹の安定性低下」「エネルギーロスの抑制と持久力維持」など、中高年特有の課題を抱えやすいことにあるようです。
順番にみていきますね。
まず、「加齢による筋力低下」ですが、当然ながら加齢とともに筋肉量や筋力は自然に低下していきます(自然の摂理)。
特に抗重力筋(姿勢を支える筋肉)である臀筋群は衰えやすくて、これが姿勢の崩れや走行時の安定性低下、転倒リスクの増加につながるわけです。
そして、中高年になると、持久的な運動(ジョギングやウォーキング)だけでは速筋線維の萎縮を十分に防げないので、臀筋群を含む筋力トレーニングがより重要になってくるわけです。
次に「骨盤・体幹の安定性低下」ですが、中高年になると筋力低下により骨盤がブレやすくなり、フォームが乱れやすくなってきます。
その結果、ふくらはぎや足底など他の部位に余計な負荷がかかり、痛みや故障の原因になります。お尻を鍛えることでフォームが安定し、ケガの予防にもつながるわけです。
最後に「エネルギーロスの抑制と持久力維持」ですが、お尻の筋肉が衰えると、走行中に身体が左右にブレやすくなり、無駄なエネルギー消費が増えます。
中高年は若年層より回復力が落ちるため、効率的なフォームを維持するためにも臀筋群の強化が重要というわけです。
以上から、お尻の筋肉を鍛えることで、スピード・持久力の両面でランニングパフォーマンスが向上しやすくなって、フォームの安定やケガの予防にもつながることから、特に中高年ランナーは年齢とともに筋力が低下しやすいため、意識してお尻を鍛えることがレベルアップの近道ということになるわけですね。